【2025年最新】接待交際費と似た勘定科目の違いとは?経費計上のポイントをわかりやすく解説
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- 8月29日
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目次【2025年最新】接待交際費と似た勘定科目の違いとは?経費計上のポイントをわかりやすく解説
接待交際費とは?基礎から理解しよう
接待交際費の定義と経費として認められる条件
接待交際費とは、事業に関連する相手方との関係を円滑にするために支出する費用を指します。典型的な例としては以下のような支出です。
取引先との会食費用
ゴルフや観劇などの接待費用
記念品・中元・歳暮などの贈答品費用
商談を兼ねたイベント参加費
ただし「事業関係者」が対象となるため、従業員だけで行う飲み会は原則として接待交際費ではなく「福利厚生費」となります。
経費計上できる額の上限(法人規模ごと)
接待交際費はすべてを損金算入できるわけではなく、会社の資本金規模によって扱いが異なります。
資本金1億円以下の中小企業年間800万円まで全額損金算入可能、または接待飲食費の50%控除のいずれか高い方を選択可能。
資本金1億円超〜100億円以下の企業接待飲食費の50%のみ損金算入可能。
資本金100億円超の大企業原則として接待交際費は全額損金不算入。
この違いを理解しておくことで、適切な経費計上と節税対策につながります。
令和6年4月からの変更点:1人あたり会食費の上限引き上げ
従来は「1人あたり5,000円以下」であれば会議費として処理できましたが、2024年4月から1万円以下に引き上げられました。これは物価上昇を背景にした制度改正であり、経費処理の幅が広がったことを意味します。

接待交際費と混同されやすい他の勘定科目
会議費との違い
「会議費」とは、社内外の打ち合わせや会議にかかる費用のことです。
お茶や軽食を伴う会議
昼食を挟んだ打ち合わせ
社外との商談ミーティング
これらは会議を目的としているため、金額に関係なく会議費に含められます。特に「1人あたり1万円以下」の飲食代は、接待交際費ではなく会議費として処理できるケースが多くなっています。
💡ポイント
会議目的を示すために議事録・参加者・議題内容を記録しておくと安全。
税務調査では「実際に会議だったのか」「接待に流用していないか」が問われやすいため、証拠書類の整備が欠かせません。
福利厚生費との違い
福利厚生費は、従業員の福利厚生を目的とした費用です。
社員旅行
忘年会や新年会
慶弔見舞金
社員への慰労会
取引先を含まない従業員のみの飲み会やレクリエーションは、接待交際費ではなく福利厚生費に分類されます。
広告宣伝費・取材費との違い
その他、接待交際費と間違えやすい勘定科目として次のものがあります。
広告宣伝費:新商品PRのための贈答品(例:ノベルティ配布)
取材費:メディアや取材対応に伴う費用
販売促進費:キャンペーンや顧客誘致目的の費用
違いを意識しないと、接待交際費に一括処理してしまい損金算入できる額を減らすリスクがあります。

接待交際費を正しく経費計上するポイント
領収書の保存は必須
接待交際費を経費にするには、領収書の保存が大前提です。税務署は「実際に接待が行われたのか」を確認するため、領収書やレシートの有無を最初にチェックします。
💡保存の具体的なルール
保存期間:7年間(青色申告法人で欠損金がある場合は10年間)
必要な情報:店名・日付・金額が明記されていること
電子帳簿保存法対応:電子データ(スマホ撮影など)も可。ただし改ざん防止の要件を満たす必要あり。
⚠️よくあるミス
レシートを紛失 → 後日メモで代替 → 認められないケースあり
領収書に宛名を「上様」としたまま提出 → 税務調査で疑問視されやすい
記録の徹底(目的・参加者・金額)
領収書だけでは「接待の事実」を十分に証明できません。接待の内容を補足する記録を残しておくことが重要です。
💡記録すべき項目
接待の目的:「新規契約交渉」「長期取引先との関係維持」など
参加者名・所属:取引先企業名、担当者名、同行した自社社員名
日時・場所:領収書の内容と一致させること
費用の内訳:飲食代・交通費・贈答品など
おすすめの方法
経費精算システムに入力フォームを設ける
Excel/スプレッドシートに統一フォーマットを作成
スマホでその場にメモを残す
消費税の取り扱いに注意
接待交際費には、課税・非課税の区分があります。仕訳を誤ると消費税申告で不利益を受ける可能性があります。
主な取り扱い例
飲食代:課税対象(標準税率10%)
飲食料品の持ち帰り(テイクアウト):軽減税率8%
商品券やギフト券の購入:非課税(実際に商品と交換されたときに課税)
交通費(電車・バス):非課税扱い
💡ポイント
「同じ交際費でも、支出内容によって税率が異なる」ため、帳簿上で正しく仕訳する必要があります。
法改正や最新ルールへの対応
接待交際費は税制改正でルールが変わることがあるため、常に最新情報を把握しておきましょう。
💡最近の改正例
1人あたり飲食費の上限引き上げ2024年4月より「5,000円 → 1万円」に変更。これにより、会議費として処理できる範囲が広がった。
電子帳簿保存法の改正領収書を電子化する場合、適切なシステムやクラウド会計ソフトを利用する必要がある。
実務での対策
税理士・顧問会計士から定期的に情報をもらう
経理担当者向けセミナー・国税庁サイトをチェック
社内マニュアルを更新し、ルールを共有
その他の注意点
金額基準の把握資本金1億円以下の会社は「年間800万円」か「飲食費50%控除」のどちらか有利な方を選べる。
社内行事との区別忘年会や社員旅行は「福利厚生費」。混同すると否認リスクが高い。
贈答品の線引き宣伝目的なら広告宣伝費、特定取引先へのお歳暮なら接待交際費。

よくある疑問
Q1:取引先訪問の際のタクシー代は接待交際費になる?
A:目的によって扱いが異なります。
接待目的で移動する場合(例:取引先を迎えに行き、会食会場までタクシーで同行した)→ 接待交際費に含める。
単なる業務上の移動(例:営業担当者が商談のために1人で訪問先に向かった)→ 旅費交通費として処理。
📌 ポイント:同じ「タクシー代」でも、誰のために・何のために利用したかで勘定科目が変わる。
Q2:社内だけで開いた飲み会は接待交際費になる?
A:なりません。福利厚生費として処理します。
社員だけの忘年会や新年会、社員旅行などは「福利厚生費」。
ただし、取引先が参加している場合は接待交際費になるので注意。
📌 注意点:福利厚生費として認められるためには「全従業員を対象としていること」が条件。幹部社員だけの飲み会は、福利厚生費として認められないケースもある。
Q3:少人数でのランチミーティング(1人あたり9,000円程度)は?
A:会議費として処理可能です。
2024年4月の改正により、「1人1万円以下」の飲食費は会議費として計上可能になりました。
会議費扱いにすれば全額損金算入できます。
📌 ポイント:会議の目的や内容をメモして残すこと。単なる懇親ランチと区別できるように「打ち合わせ議題」などを記録しておく。
Q4:贈答品(お中元・お歳暮)はすべて接待交際費?
A:ケースによっては広告宣伝費になります。
特定の取引先に送る中元・歳暮 → 接待交際費
不特定多数に配布するノベルティや粗品 → 広告宣伝費
📌 注意点:高額な贈答品を「広告宣伝費」として処理するのはリスクあり。税務調査では「対象が限定されていないか」を確認される。
Q5:ゴルフ代や観劇チケットはどう処理する?
A:原則として接待交際費です。
取引先を接待する目的のゴルフ代や観劇代 → 接待交際費
社員旅行やレクリエーション目的の観劇 → 福利厚生費
📌 よくある誤り:従業員だけで利用したゴルフ代を「接待交際費」にしてしまうケース。これは否認されやすいので注意。
Q6:接待の場で渡した商品券はどうなる?
A:商品券の性質によって異なります。
商品券の購入時 → 消費税は非課税(交際費扱い)
商品券を渡した時点 → 接待交際費として計上
現金を渡した場合 → 贈与とみなされ、経費として認められないケースが多い
📌 ポイント:商品券やギフトカードは「現金に近い扱い」なので、処理を誤ると税務上問題になりやすい。
Q7:取引先との飲食代を社員が立て替えた場合は?
A:経費精算で処理し、接待交際費として計上します。
領収書は社員個人名義でもOK。ただし、会社の経費精算で「接待目的」であることを証明する必要がある。
領収書に「会社名」や「接待交際費で処理する」旨をメモして添付するとベスト。
Q8:海外出張先での接待はどう処理する?
A:国内と同じルールで接待交際費に計上します。
海外であっても「事業関係者への接待」であれば交際費扱い。
記録の言語が英語でも問題ないが、内容(目的・参加者)が明確に分かるように日本語で補足しておくと安心。
Q9:接待交際費を計上しすぎると不利になる?
A:資本金規模によって損金算入の制限があります。
中小企業(資本金1億円以下):800万円まで、または飲食費50%控除のどちらか有利な方
大企業(資本金100億円超):原則、損金不算入
📌 節税のコツ:接待交際費にせず「会議費」や「福利厚生費」として正しく計上することで、損金算入の枠を有効活用できる。
まとめ|接待交際費の正しい理解が会社を守る
接待交際費は「事業関係者との関係強化」に使う費用
会議費・福利厚生費・広告宣伝費などと明確に区別することが重要
領収書や記録の保存、税制改正のチェックは必須
正しい経費処理は、節税対策だけでなく会社の信用を守ることにもつながります。





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