ファクタリングと融資それぞれのメリット・デメリットを解説
- FA
- 2月12日
- 読了時間: 8分
更新日:4月10日

ファクタリングと融資は異なるサービスのため、それぞれに独自のメリット・デメリットがあります。この記事では、ファクタリングと融資を利用するメリット・デメリットを解説していきます。
ファクタリングと融資の違い
ファクタリング | 融資 | |
資金調達可能金額 | 数十万~1億円程度(売掛金の額が上限) | 数百万~数十億円 |
資金調達にかかる期間 | 即日~5日程度 | 1週間~3カ月程度 |
審査対象 | 売掛先の企業 | 自社 |
手数料・金利 | 1~20%程度(手数料) | 2~6%程度(金利) |
返済方法 | 一括 | 一括/分割 |
相手先企業の承諾 | 不要(2社間)/必要(3社間) | 不要 |
審査が通らない理由 | 売掛先の業績不振等 | 自社の借入額が多い 税金や支払いの滞納がある等 |
会計上の分類 | 売掛金の減少と現金の増加 | 負債 |
ファクタリングと融資それぞれのメリット・デメリットを解説

ファクタリングを利用するメリット
スピーディーな資金調達が可能
ファクタリングを利用して資金調達をする場合、資金を得るまでにかかる期間は最短で数時間ほどです。
その日のうちに手元の資金を増やせる点は、審査の難易度が比較的低いファクタリングならではのメリットといえるでしょう。
近年は、契約方法を対面または、オンラインから選べるファクタイング会社も増えています。オンラインで契約を結べば、よりスピーディーに資金を調達することが可能です。
自社の経営状況問わず利用可能
ファクタリングは、赤字や滞納があっても利用できます。ファクタリングの審査では、売掛先企業の信用度が重視されるため、自社の業績が悪くても審査に大きな影響はありません。ビジネスローンが通らなかった会社でも、ファクタリングなら問題なく利用できるケースも見られます。
原則として返済義務がない
ファクタリングは、支払期日前の売掛金を現金化する金融サービスであり、資金を借り入れるわけではありません。
そのため、原則として返済義務がないのが特徴です。
また、一般的にファクタリングでは償還請求権がないノンリコース契約を結ぶため、万が一売掛先が倒産して売掛金の回収が困難になったとしても、申込企業に売掛金の支払義務は生じません。
貸倒リスクを回避できる
通常は、売掛先企業が倒産すると売掛金の回収が困難になり、自社の損失につながります。売掛金の回収が滞ると貸し倒れのリスクが高まりますが、ファクタリングでは売掛金をファクタリング企業が買い取るため、自社への影響を最小限に抑えることが可能です。
売掛先からファクタリング会社に直接支払いが行われる3社間ファクタリングでは、回収に関わる業務をすべて委託できます。ファクタリングは、売掛金未回収リスクの回避としても有効です。
資産のオフバランス化ができる
会社の資産と負債をまとめた財務書類を貸借対照表(バランスシート)と呼びます。オフバランス化とは、バランスシートに計上する項目を減らして、スリムにすることを指します。
ファクタリングでは、売掛金という資産をファクタリング会社に譲渡して資金を調達するため、負債に計上されることはありません。融資での借入金は負債となるため、信用情報にも登録されます。大きすぎる負債額は、企業の業績評価に悪影響となるため、オフバランス化することで資金調達の選択肢が広がります。
ファクタリングを利用するデメリット
手数料がかかる
ファクタリングの利用には手数料がかかります。
そのため、ファクタリングを利用することで得られる資金は、売掛先から入金されるはずだった売掛金から手数料を差し引いた金額です。
売掛金を満額得ること、そして売掛金以上の資金を得ることはできず、その点はデメリットといえるでしょう。
手数料はファクタリング会社によって異なります。
売掛先の信用力によっては利用できない
ファクタリングの審査は売掛先の業績や支払い能力など信用力が重視されます。
例えば、売掛先が倒産するリスクがあり売掛金の回収ができなくなった場合、ファクタリング会社が損失となります。
そのため、売掛先の信用力によっては利用できない場合もあります。
審査に通過するためには信用力が高い売掛先の売掛金を選んだり、これまでの取引・入金履歴を証明できる資料をファクタリング会社に提出し、信用力の高さを伝えることがポイントです。
売掛金の範囲内しか利用できない
ファクタリングは、調達できる資金が限られます。売掛債権を譲渡する仕組みになるため、売掛金を超える資金調達はできません。例えば、100万円の売上債権であれば、100万円が上限となります。
売掛金の上限を超える資金調達がしたい場合は、ファクタリング以外の手段の検討が必要です。
売掛先に債権譲渡の事実を知られた場合の悪影響
3社間ファクタリングの場合は、売掛先の承諾を得なければならないため、債権譲渡の事実を知らせる必要があります。売掛先が債権譲渡の事実を知った場合、資金繰りに不信感を抱かれ今後の取引に影響を及ぼす可能性があります。知られたくない場合は、2社間ファクタリングを利用しましょう。
分割支払いができない
2者間ファクタリングを利用後、ファクタリング会社に売掛金を支払う際は一括払いのみで分割払いはできません。
分割払いは貸金に該当するため、一括支払いのみとなっています。

融資を利用するメリット
低金利で利用できる
融資を利用する際に発生する金利は、比較的低いのが特徴です。
消費者金融やキャッシングによる借金の金利は15%ほどですが、融資の金利は日本政策金融公庫なら1%〜3%、銀行なら2%〜9%といわれています。
借金に比べて低金利で資金を借り入れられる点は、融資のメリットといえるでしょう。
ただし、低金利であるほど審査が厳しいという側面もあるため、理解しておく必要があります。
高額な資金調達が可能
事業拡大や起業時には多額の資金が必要になります。審査時に提出する事業計画表で資金の計画的活用が証明できれば、多額の資金調達が可能です。ただし、起業して間もない場合は実績が少なく審査に通過できないため、創業融資を活用するのがおすすめです。
第三者が関与しない
融資は、利用者(申込企業)が金融機関と契約を結んだのち、資金を借り入れる金融サービスです。3者間ファクタリングのように売掛先が契約に加わることもなければ、株式投資のように株主が経営に参加することもありません。
取引実績が作れる
金融機関の融資審査では、過去の取引実績が重要な判断材料になります。きちんと返済している実績がないと、信頼度が低いと見なされることもあり、クレジットカード審査のホワイト落ちのような状況に陥るケースもあります。今後、融資の利用を円滑に行いたければ、取引実績を作っておくことが必要です。融資を受けて、予定通り返済することで、実績を積み上げていけます。
融資を利用するデメリット
資金調達に時間がかかる
融資はファクタリングに比べ資金調達までに時間がかかる傾向にあります。
融資の審査では利用者から提出された書類や信用情報などを確認し、信用力を細かく調査する必要があるため、金融機関によって差があるものの審査には1週間~1か月程度かかります。
そのため、申し込みから融資がおりるまでに1か月~2か月程度かかり、急ぎの資金調達には不向きです。
また、提出書類を準備したり、面談に行くなどの手間と時間もかかります。
融資で資金が必要なタイミングに資金調達をするためには前もって計画的に行動することが重要です。
業績が悪いと利用できない
支払い能力に不安ありと判断されると融資審査は通りません。業績が悪化する中で資金調達をしたい場合は、綿密な事業計画を立てて説明する必要があります。事業計画では、業績悪化の理由、今後の方針、返済計画などを、数値を用いながら詳しく記載します。財務書類も細かくチェックされるため、計画的に申し込み準備を進めて行くことが大切です。
また、どれだけ丁寧に資料を作りこんでも、赤字や債務超過などがあると返済能力が低いと見なされやすく、審査通過は難しくなります。
返済する義務がある
融資はいわゆる借金です。そのため、契約通りに返済しなければなりません。自社が倒産した場合でも返済義務は消えないため、資金計画をしっかり立てないと借金だけが残ってしまいます。
まとめ
ファクタリングは、自社の経営状況が不安定でも利用可能でスピーディーに資金を調達できる一方、調達できる資金の額には上限があります。
これに対し融資は、高額な資金を調達できる一方、資金が手元に届くまでに時間を要する上に審査が厳しく、返済義務も生じます。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、資金調達の方法にどちらを選ぶか悩んでいる方は、この記事を参考にしてみてください。
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