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【完全ガイド】現物出資で会社設立する流れと注意点|500万円以下で可能なケースも解説

  • 執筆者の写真: FA
    FA
  • 8月29日
  • 読了時間: 9分

現物出資で会社設立する流れと注意点


「会社を設立したいけれど、手元に現金が少ない…」そんなときに活用できるのが 現物出資 です。現物出資とは、現金以外の不動産や車両、パソコン、知的財産権などを資本金に充てられる制度で、会社法でも認められています。

ただし、メリットがある一方で、評価方法や書類の準備、課税リスクなどの注意点も多く存在します。この記事では、現物出資で会社を設立する流れと必要な手続き、失敗しないためのポイントをわかりやすく解説します。




目次


02.現物出資のメリットとデメリット









【完全ガイド】現物出資で会社設立する流れと注意点|500万円以下で可能なケースも解説



オフィスビル



現物出資による会社設立とは?基礎から理解しよう


現物出資とは?金銭以外の資産で会社設立が可能


現物出資とは、現金の代わりに物や権利を会社に出資する方法 です。たとえば以下のような資産が対象となります。


  • 不動産(オフィス用の土地・建物)

  • 自動車・トラックなどの車両

  • パソコンや事務機器、設備機械

  • 株式や社債などの有価証券

  • 特許権・商標権・著作権などの知的財産


つまり「お金はないけど価値のあるものはある」という起業家でも、資産を活用して会社を設立できるのが特徴です。






比較表|現物出資と現金出資の違い


項目

現物出資

現金出資

出資できる資産

不動産、車両、機械設備、PC、有価証券、知的財産権など

日本円(現金・銀行振込)

メリット

- 手元資産を有効活用できる


- 資本金額を大きく見せられる


- 現金を用意せずに設立可能

- 手続きがシンプル


- 評価や税務リスクが少ない


- 運転資金としてすぐに利用可能

デメリット

- 評価が難しく専門家の証明が必要な場合あり


- 税務リスク(譲渡所得など)


- 現金不足で資金繰りに支障が出る可能性

- まとまった現金が必要


- 手元資産を資本金に充てられない

手続きの複雑さ

やや複雑(定款記載・財産引継書・名義変更など)

簡単(出資金振込証明書を添付する程度)

信用力

資本金額を高くできる → 信用獲得に有利

現金資本で運転資金が確保 → 実務に有利





現物出資のメリットとデメリット



メリット・デメリット



メリット


  • 現金を用意せずに会社設立が可能

  • 資本金額を大きく見せられる(信用力UP)

  • 節税につながるケースもある(資産評価によっては有利)




デメリット


  • 手続きが煩雑で時間がかかる

  • 適正評価を誤ると課税リスクや責任問題に発展

  • 現金が不足すると、実際の運転資金に困る可能性


つまり、メリットを享受しつつも「資金計画・評価・手続き」の3点を慎重に進めることが成功のカギです。





現物出資で会社設立する場合の流れを解説


出資資産の時価を調べる(適正価格の算定)


現物出資の最大のポイントは「その資産がいくらの価値を持つのか」という評価です。


  • 500万円を超える資産を出資する場合は、裁判所が選任する 検査役の調査 が必要。

  • 500万円以下なら、発起人の合意や専門家(弁護士・公認会計士・税理士など)の証明で代替可能。


  • パソコン(中古市場価格20万円×5台=100万円)→検査役不要

  • 都心の不動産(評価額3000万円)→検査役による調査が必須






定款への具体的な記載内容


現物出資をする場合、定款には以下を明記する必要があります。


  • 出資者の氏名・住所

  • 出資する資産の内容と時価

  • その資産に対して割り当てる株式数


これは「会社法28条」で義務づけられています。記載漏れがあると登記が認められないため要注意です。






必要書類の作成と提出


現物出資に関わる書類は以下の通りです。


  • 財産引継書

  • 調査報告書(検査役が必要な場合)

  • 資産の所有権移転を証明する資料(登記簿謄本・車検証・特許証など)


これらは設立登記の際に添付する必須書類であり、不備があると登記が却下されることもあります。






法務局への登記申請と提出資料


会社設立の登記申請時に、上記書類をまとめて法務局に提出します。近年では「オンライン登記申請」も可能で、マイナンバーカードを利用して電子署名を行えば、郵送や窓口申請よりスムーズに完了します。






名義変更手続き(不動産・自動車など)


出資した資産が不動産や車両の場合は、名義変更の手続き が必要です。


  • 不動産:所有権移転登記を行う

  • 自動車:運輸支局で名義変更手続き

  • 知的財産権:特許庁で権利移転登録


これを怠ると「資産は出資したが所有者は個人のまま」という不具合が生じ、トラブルの原因になります。






現物出資を行う前に押さえておきたい注意点



注意点



検査役の選任はいつ必要?500万円ルールの罠を避けよう


「500万円以下なら検査役不要」とは言え、複数の資産を合算した結果500万円を超えるケースもあります。


  • 車両300万円+PC機器250万円=合計550万円 → 検査役が必要

  • それぞれの評価額が曖昧だとトラブルにつながる






不足額担保責任とは?金額の過大記載に注意


もし出資資産の価値を実際より高く記載した場合、差額を発起人が補填しなければなりません。これを 不足額担保責任 と言います。






課税リスクを避ける—資産の種類や評価方法に応じた税務処理


現物出資は税務上のリスクも伴います。


  • 不動産 → 譲渡所得税の対象

  • 自動車 → 自動車取得税や重量税が発生

  • 有価証券 → 売却益扱いになるケースあり


税務署に指摘されると追徴課税につながるため、事前に税理士へ相談するのが賢明です。






現金比率が小さい資本金、実務や信用に与える影響


資本金が大きく見えても、ほとんどが現物だと運転資金に使えません。たとえば「資本金1000万円(うち現金50万円、不動産950万円)」という会社は、実際には運転資金が不足するリスクが高いのです。







現物出資の成功事例と失敗を防ぐポイント


成功と失敗



成功事例①:500万円以下の現物出資で手間を大幅に削減


あるITベンチャー企業は、起業時に代表者が所有していた高性能PC(中古市場価格200万円相当)や周辺機器を現物出資として活用しました。


  • ポイント:資産価値が500万円以下のため、検査役を付けずに済んだ

  • 結果:会社設立に必要な資本金を確保しつつ、設立までの期間を短縮できた


防止策:資産価値の査定は必ず第三者の見積もりや中古市場価格を参照し、曖昧な評価を避けること。






成功事例②:専門家の証明で検査役を不要にしたケース


ある不動産関連のスタートアップでは、設立時にオフィス用の土地(評価額1,200万円)を現物出資しました。通常であれば裁判所の検査役が必要ですが、税理士による「適正評価の証明書」を添付することで検査役の選任を回避。


  • ポイント:専門家の証明で手続き簡略化

  • 結果:設立までのコスト削減とスピード化を実現


防止策:500万円を超える場合は、検査役に依頼する前に税理士・会計士へ相談。費用と時間を大幅に節約できる可能性がある。






成功事例③:知的財産権の現物出資で信用力を獲得


クリエイティブ系の会社では、代表者が保有していた 特許権と商標権 を現物出資として評価額1,000万円で資本金に計上しました。


  • ポイント:知的財産を資本金に加えることで「技術力のある会社」としての信用力を獲得

  • 結果:銀行融資や取引先との契約がスムーズに進んだ


防止策:知的財産は専門家による評価が必要。特許庁での権利移転手続きも忘れずに。







失敗例①:現金不足で資金繰りに行き詰まったケース


ある製造業の設立時、代表者は所有していた機械設備(評価額800万円)をほぼ全額現物出資しました。


  • 問題点:資本金は見かけ上大きくなったが、実際の運転資金として使える現金がほとんどなかった

  • 結果:仕入れや人件費の支払いに苦労し、設立後すぐに資金繰りが悪化


防止策:資本金は「現金と現物のバランス」が重要。最低でも数か月分の運転資金は現金で確保しておく。






失敗例②:資産評価を誤って税務署から追徴課税


ある企業は、中古自動車(実勢価格300万円)を過大評価して500万円で現物出資。


  • 問題点:実勢価格より高く記載していたため、不足額担保責任が発生

  • 結果:発起人が差額を補填する羽目になり、税務署からも指摘を受けて追徴課税


防止策:不動産や自動車などは「査定書」や「登記簿謄本」を添付。適正評価を第三者に証明してもらうことが不可欠。






失敗例③:名義変更を怠り、トラブルに発展


ある会社では、設立時に不動産を現物出資にしたが、所有権移転登記を怠ってしまいました。


  • 問題点:登記上は代表者個人の名義のまま

  • 結果:会社の資産として認められず、融資審査で不利に


防止策:不動産・車両・知的財産権は必ず名義変更を完了させる。設立登記と同時に進めるのが望ましい。




成功と失敗から学べる教訓


  1. 500万円以下の資産ならシンプルに進められる → 中小企業・スタートアップ向き

  2. 専門家の証明を積極活用する → 検査役手続きを省略できる可能性あり

  3. 現金と現物のバランスを意識する → 運転資金を枯渇させない

  4. 評価額は必ず第三者に確認してもらう → 不足額担保責任・課税リスクを回避

  5. 名義変更を徹底する → 資産を会社のものとして正式に確保






よくある質問


よくある質問



Q1. 現物出資は誰でも利用できますか?


A. 株式会社・合同会社ともに可能です。ただし資産の種類や評価額に応じた制限があります。




Q2. 500万円を超える場合は必ず検査役が必要ですか?


A. 原則必要ですが、一定の条件を満たすと専門家の証明で代替できます。






Q3. 税金対策として現物出資は有効ですか?


A. ケースによります。不動産や車両などは税負担が発生するため、事前のシミュレーションが重要です。






Q4. 設立後に追加で現物出資は可能ですか?


A. 増資の一環として可能です。その際も定款変更や登記が必要になります。






まとめ|現物出資で賢く会社設立を実現しよう


現物出資は、手元資産を有効活用して資本金を確保できる制度です。ただし、

  • 資産の適正評価

  • 定款記載や書類の正確な準備

  • 税務リスクへの配慮

  • 現金比率とのバランス


これらを押さえなければ、後々大きなトラブルにつながります。

専門家に相談しつつ、現金と現物をバランスよく組み合わせること が成功の秘訣です。

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