未払いの売掛金を回収するには?売掛金のある取引先が倒産した場合どうすればよいのか?
- FA
- 2月17日
- 読了時間: 6分
更新日:4月7日

売掛金の未回収とは
売掛金の未回収とは、商品やサービスを提供し、代金を後払い(掛け売り)とする取引を行った際に、約束された支払期日までに代金が支払われない状態のことを指します。
つまり、提供した商品やサービスの対価として受け取るべきお金が、支払期日を過ぎても手元に入金されていない状態のことです。
売掛金回収でまず気を付けるべきこと
商品やサービスを提供しているのに、それに相当した代金を回収できなかったら、企業にとってマイナスとなります。しかし売掛金が未回収となる事例は、企業同士の取引で起こり得るトラブルのひとつです。
これを防ぐためには、売掛金を回収するときに、取引先に代金回収の期日をきちんと守ってもらい、遅滞させないことが大切になります。まず新規の取引先となる場合は、相手先の業務や経営状況について、わかる範囲で把握して確認することが必要です。さらに売掛金を回収する期日や金額を明確にし、相手に伝えます。
また、売掛金が未回収とならないよう、未回収となった場合でもすぐにそれに気づいて対応するためには、担当者が相手の経営状況などに敏感になっておくことも重要です。万が一、取引先の経営が危ないなどの噂を耳にした場合は、安易に取引に応じることは危険かもしれません。さらに、これまでは期日通り代金の支払いが行われていたのに、期日後の支払いが続くようになった場合などは、取引先の経営が悪化しているサインかもしれません。もしも売掛金の回収に遅延が起きてしまった場合は、すぐに担当者に連絡できるよう、問い合わせ先の電話やEメールアドレスなどを明確にしておくこともリスク回避につながると覚えておきましょう。
未払いの売掛金を回収するには?売掛金のある取引先が倒産した場合どうすればよいのか?

未払いの売掛金を回収するには
公正証書を作成する
内容証明郵便を送る
法的手段を検討する
弁護士などに回収代行を依頼する
公正証書を作成する
公正証書とは、公証人が作成する書類のことで、公文書となり、強制執行を認諾するという文言を記載することで、不払いを起こしたときには裁判を起こさず、相手の財産を差押えることが可能となります。この公正証書を作成することで、買主側に圧力をかけられるため、支払いに応じざるを得なくなるでしょう。
公正証書の作成は、全国にある公証役場で対応してもらうことが可能です。事前に申し込みを行い、決められた日時に買主側と共に出向く必要があります。
内容証明郵便を送る
内容証明郵便とは、誰が誰に対して送付した文書なのか、またその文書の内容を郵便局が確認し、証明してくれるものです。
未払いの売掛金を催促する際は、一般的に内容証明郵便で督促状を送付します。
裁判所を介さないため、比較的ハードルが低い対処法といえます。
法的手段を検討する
催促しても売掛金が支払われない場合は、法的手段を検討しましょう。
法的手段は主に訴訟と訴訟以外に分けられ、後者には公正証書や即決和解、支払督促、民事調停などがあります。
どれも専門性が高いため、着手する場合は弁護士に相談しましょう。
弁護士などに回収代行を依頼する
未払いの売掛金の回収業務を弁護士に代行してもらうのも一案です。
費用が発生しますが、その分コア業務に専念できる他、人件費を抑えることもできます。
※法律で売掛金の回収が認められているのは、弁護士、認定司法書士、債権回収会社の三者のみです。
売掛金のある取引先が倒産した場合
取引先が倒産すると売掛金はどうなるのか
売掛金のある取引先が倒産した場合の対応
取引先が倒産すると売掛金はどうなるのか
取引先が倒産した場合でも、無条件に売掛金が消滅するわけではありません。売掛金は債権の一種であるため、仮に取引先が倒産したとしても、請求する権利を有したままです。また、取引先は倒産する状況においても、売掛金などの債務を果たす義務があります。
ただし、これは本来のあるべき姿であり、実際には売掛金を回収できないケースが大半です。取引先は資金繰りに問題が生じて倒産するため、請求する権利を有していても、支払いに充てるお金がなければ対応できません。債権者が集まり、資産の分配について協議することはありますが、協議しても売掛金の全額を回収できることはほぼないと考えるべきです。
売掛金のある取引先が倒産した場合の対応
商品の引き上げ
販売してもらう予定の商品を預けているならば、これらを引き上げしなければなりません。倒産が決まっている状態で、商品が減少すると売掛金がさらに増加してしまいます。回収できない金額が増えることになりかねないため、早急に対応しましょう。ただし、取引先に預けている状態でも、勝手に持ち出すと罪に問われるかもしれません。持ち出す旨を取引先へと伝え、許可を受けてから持ち出すようにしましょう。可能であれば、書類やメールで持ち出しを許可してもらった旨を記録しておきましょう。
債務の相殺
取引先との間に、売掛金と買掛金があるならば、これらの債務を相殺できないか確認してみましょう。一般的には、お互いに現金をやり取りしますが、倒産した場合は売掛金を相殺処理します。売掛金と買掛金を相殺処理する場合は、相殺領収書を発行するなどのやり取りが必要です。ただし、取引先が倒産している場合、本来は必要とされる手続きが難しいかもしれません。顧問税理士などの専門家に相談して、適切な方法で会計処理する必要があります。
債権譲渡
取引先が売掛債権を有しているならば、それを譲渡してもらう選択肢があります。事前に、売掛債権を譲り受けていれば、取引先に代わって売掛金の受け取りが可能です。自社の売掛金を回収できなくても、取引先の売掛先に入金される予定の売上を回収できれば、取引先からの支払いに代えられます。ただし、倒産の手続きが進んでしまうと、取引先が保有する売掛債権は破産管財人の管理へと移行されてしまいます。この状況になると、売掛金を回収できていないからといって、債権を譲渡してもらうことは不可能です。破産管財人が主体となって現金化を進めるため、現金化の完了後に債権者に対して配当があるかどうか通知されます。
担保権の行使
事前に担保が設定されているならば、担保を回収する担保権を行使しましょう。これを行使することで、取引先が倒産してもスムーズに担保を入手できます。仮に現金の支払いがなかったとしても、担保が手に入ることで金銭的な被害を減らせる仕組みです。
担保権を行使する際は、その事実を相手側に伝えなければなりません。ただし、相手側の同意を得る必要はなく、倒産などに備えて事前に合意できていれば、通知だけで行使が可能です。
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