新規事業に使える助成金と補助金の違いとは?初心者向けにわかりやすく解説
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- 8月6日
- 読了時間: 24分

目次新規事業に使える助成金と補助金の違いとは?初心者向けにわかりやすく解説
助成金と補助金って何が違うの?
補助金とは?補助金とは、国や地方自治体などの公的機関が「経済の活性化」や「中小企業支援」などの目的で提供する、返済不要の資金のことです。一般的には、企業や個人事業主が新たな取り組みや設備投資を行う際に、その費用の一部を「補助」する仕組みです。
たとえば、新しい製品の開発やITツールの導入、海外展開などに取り組む場合に、最大で数百万円〜数千万円の補助金が受けられることもあります。
💡【補足】補助金は「審査あり・採択制」であることが特徴です。申請すれば必ずもらえるわけではなく、提出した事業計画書などをもとに、審査のうえで採択される必要があります。
助成金とは?一方で、助成金は主に厚生労働省や地方自治体が提供する制度で、雇用や人材育成に関する取り組みに対して支給される返済不要の資金です。
たとえば、「正社員を雇用した」「職場環境を改善した」「社員のスキルアップ研修を実施した」など、一定の要件を満たすと、その実績に応じて助成金を受け取ることができます。
💡【補足】助成金は「条件を満たせば原則もらえる」制度です。審査はありますが、補助金のように競争的な採択ではないため、制度の条件をよく確認して手続きを正しく進めれば受給できる可能性が高いです。
助成金と補助金の違いをわかりやすく一覧で比較項目 | 補助金 | 助成金 |
管轄機関 | 経済産業省・中小企業庁など | 厚生労働省・地方自治体など |
主な目的 | 経済活性化・産業振興 | 雇用促進・人材育成 |
支給の仕組み | 採択制(審査あり) | 条件クリアで原則支給 |
申請の難易度 | 難易度高め(競争あり) | 難易度低め(実績ベース) |
募集期間 | 年に数回(限定的) | 通年受付が多い |
申請タイミング | 公募期間に合わせて | 随時申請可能 |
代表的な制度例 | IT導入補助金、事業再構築補助金等 | キャリアアップ助成金等 |
支給方法 | 事後精算型(後払い) | 条件満たし次第支給(後払い) |
対象者 | 中小企業、個人事業主 | 中小企業、個人事業主(雇用あり) |
返済の必要性 | なし | なし |

なぜ「違い」を知ることが重要なのか?
「助成金」と「補助金」は、どちらも返済不要な資金援助という点で魅力的ですが、制度の仕組みや条件が大きく異なるため、違いを理解していないと、申請の手間や結果に大きな差が出てしまいます。ここでは、違いを知ることがなぜ重要なのか、具体的な理由を解説します。
制度を勘違いすると、申請が無駄になることも新規事業の立ち上げ時、「この制度、もらえるかも!」と思って申請したところ、実は対象外だった…というケースは珍しくありません。たとえば、雇用を増やしたから「補助金が出るはず」と思っても、それは「助成金」の対象であり、補助金の申請要件には当てはまらない場合があります。
【実例】 ITツール導入の補助金だと思って申請したら、雇用拡大が条件で不採択だった 採択された補助金なのに、支給まで半年かかるとは知らず、資金ショートした
このように、制度の違いを理解していないと、せっかくの時間や労力がムダになり、事業資金の見通しに大きな影響を与えてしまいます。
資金調達のスケジュールが大きく変わる補助金と助成金は、資金が支給されるタイミングにも違いがあります。
補助金: 採択後に事業を実施し、報告書を提出してから「後払い」で支給される
助成金: 条件を満たし、書類を整えて申請すれば「後払い」で支給される(補助金よりは早い)
つまり、「今すぐ資金が必要!」という場合に補助金を当てにしてしまうと、支給が半年以上先になることもあり、資金繰りが苦しくなる恐れがあります。
💡【補足】補助金は事業完了後に支払われるため、一度は「全額自己負担」で経費を立て替える必要があります。資金繰りが厳しい場合は、助成金やファクタリングなど、別の選択肢を検討しましょう。
選び間違えると、戦略的に不利になることも新規事業のフェーズや事業内容によって、どちらの制度を活用すべきかは異なります。たとえば、販路開拓や製品開発を行う事業者であれば、補助金をうまく活用することで大きな資金支援を受けられます。
一方で、人材育成や正社員雇用に取り組むなら、助成金のほうが審査もゆるやかで使い勝手が良いといえるでしょう。
✅【戦略的な使い分け例】 初期費用の一部支援を狙うなら: 補助金 雇用や人材投資を評価してほしいなら: 助成金
このように、自社の目的に合った制度を選ぶことで、より確実に資金支援を受けることができ、経営判断にも好影響を与えます。
専門家に相談する際にも、基本知識が武器になる補助金や助成金の申請をサポートする専門家(社労士・行政書士・中小企業診断士など)に相談する際も、ある程度の知識があることで、より的確なアドバイスを受けられます。
「そもそも自社が補助金に向いているのか?助成金を狙うべきか?」という判断を自ら下せるようになれば、制度選びもスムーズです。
💡【ポイント】 相談前に「補助金と助成金の違い」を理解しておけば、不要な説明を減らし、申請の準備を効率化できます。
「助成金と補助金の違いを知ること」は、単なる知識ではなく、新規事業のスタートを確実に成功させるための“戦略”の一つです。
無駄な申請を避け、資金繰りの計画を立てやすくし、制度を最大限に活用するために、まずはこの違いをしっかり理解しておきましょう。
新規事業に活用できる主要な「補助金」一覧
新規事業の立ち上げでは、初期投資や販路開拓、IT導入などに多くの費用がかかります。こうした費用の一部を支援してくれるのが「補助金」です。ここでは、特に中小企業や個人事業主が活用しやすい主要な補助金を厳選してご紹介します。
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)概要:中小企業や小規模事業者が、革新的な製品やサービスの開発、またはそのための設備投資を行う際に活用できる補助金です。
対象事業者:中小企業・小規模事業者(法人・個人事業主)
補助額・補助率:最大2,000万円/補助率1/2〜2/3(企業規模・要件により異なる)
特徴:
中小製造業・技術系の新事業に特に適している
IT設備・機械導入にも対応
審査書類の質が採択を大きく左右する
💡ポイント“革新性”が求められるため、「業界初」「競合との差別化」が明確に伝わる事業計画が重要です。
小規模事業者持続化補助金概要:小規模事業者が、販路開拓や集客のための取り組みを行う際に活用できる補助金。チラシ作成、Web制作、ECサイト構築、展示会出展などに使えます。
対象事業者:従業員数が5人以下(商業・サービス業)または20人以下(製造業など)の小規模事業者
補助額・補助率:最大250万円/補助率2/3(通常枠は50万円、インボイス対応枠や成長枠あり)
特徴:
新規開業直後の事業者でも活用可能
事業の「継続性」や「地域性」が問われる
商工会・商工会議所のサポートが必要
💡ポイント「地域に根ざした活動」や「持続可能な販路づくり」を強調すると採択されやすくなります。
IT導入補助金概要:中小企業・個人事業主が業務効率化やDX化を進めるためのITツール(クラウド会計、勤怠管理、EC、CRMなど)の導入費用を支援する補助金。
対象事業者:中小企業・小規模事業者(業種問わず)
補助額・補助率:最大450万円/補助率1/2〜3/4(導入ソフトや枠によって異なる)
特徴:
ソフトウェア導入費用・サブスク型ツールにも対応
補助対象となるツールは「IT導入支援事業者」経由で申請が必要
通年で複数回公募があり、挑戦しやすい
💡ポイント業務改善のストーリーを明確に描くと採択率アップ。ITベンダーとの連携がカギです。
事業再構築補助金概要:コロナ禍や環境変化により業績が悪化した中小企業が、新たな業態やビジネスモデルへの転換を図る場合に支援される大型補助金。
対象事業者:中小企業・中堅企業(売上減少要件あり)
補助額・補助率:最大1.5億円/補助率1/2〜2/3(枠により異なる)
特徴:
新分野への挑戦、大規模な設備投資が対象
申請書類は高度な事業計画が求められる
金融機関との連携が必要なケースも多い
💡ポイント採択率は30%台と厳しめ。事業再構築指針を熟読し、第三者のアドバイスを受けて精緻な計画を立てましょう。
事業承継・引継ぎ補助金概要:親族内承継、M&A、後継者による事業再生などのタイミングで、新たな取組(販路開拓・設備投資・業態転換)を支援する補助金。
対象事業者:事業承継を行った中小企業・個人事業主
補助額・補助率:最大600万円(枠によって異なる)/補助率2/3程度
特徴:
M&A後の経営再生・新事業開拓に活用できる
承継前後の実績・計画の整合性が求められる
💡ポイント「承継」と「新規展開」がセットで語れると評価されやすくなります。
JAPANブランド育成支援事業補助金概要:中小企業の海外進出・輸出ビジネスの促進を目的とした補助金。海外向けの商品開発やプロモーションなどに活用される。
対象事業者:海外市場開拓を目指す中小企業・小規模事業者
補助額・補助率:上限500万円程度/補助率1/2〜2/3
特徴:
越境EC、海外展示会出展などの費用も対象
「地域ブランド」「伝統産業」などは特に強い
💡ポイント海外市場への明確な戦略が必要。現地ニーズとのマッチングを計画に落とし込みましょう。
✅補助金は「目的に合った制度を選ぶ」のが成功のカギ
補助金は、目的や対象、補助率がそれぞれ異なるため、「どの補助金が自社に最適か」を見極めることが重要です。単に金額の大きさで選ぶのではなく、「自社の課題をどう解決するか」という視点から選ぶことで、採択率も高まります。
新規事業に使える主な「助成金」おすすめ制度
助成金は、一定の条件を満たせば原則として支給される“返済不要の支援金”です。新規事業を始めたばかりの事業者にとっては、雇用の安定や職場環境の整備、人材育成などに活用でき、資金繰りの改善にもつながります。
ここでは、創業・雇用・育成に関係する代表的な助成金を厳選して紹介します。
キャリアアップ助成金概要:非正規雇用(アルバイト・パート・契約社員など)の労働者を正社員へ転換するなど、雇用形態の改善を行う企業に支給される助成金です。
対象事業者:雇用保険適用事業所であり、対象者を一定期間雇用した企業・個人事業主
主な支給例(正社員転換コース):1人あたり57万円(中小企業)/最大72万円(生産性要件を満たした場合)
使える場面:
アルバイトや契約社員を正社員登用したとき
有期契約社員を無期雇用に切り替えたとき
賃金アップを伴う制度改定を行ったとき
💡ポイント「雇用契約書」や「就業規則」の整備、転換後の処遇改善などの証明書類が必要です。
人材開発支援助成金概要:従業員のスキルアップ・能力開発を目的とした研修・教育にかかる費用を支給する助成金です。社内研修・外部研修・OJTなど幅広く対応しています。
対象事業者:常時雇用する労働者を抱える企業・個人事業主(要雇用保険加入)
主な支給内容:研修費用の一部(1人あたり最大10万円以上)+受講時間に応じた賃金助成(時間給800円程度)
使える場面:
外部講師を呼んで社員研修を行う
ITスキルや営業力を高めるための教育を行う
新人・中堅社員の育成カリキュラムを導入する
💡ポイント研修実施前に「計画届」の提出が必須です。事前準備とタイミングが重要です。
働き方改革推進支援助成金概要:時間外労働の削減やテレワーク導入など、労働環境の改善に取り組む事業者に対して支給される助成金です。新規事業における働き方整備にも使えます。
対象事業者:中小企業(業種により資本金・従業員数の条件あり)
主な支給内容:設備投資(PC・勤怠管理システム・テレワーク環境等)にかかった費用の一部※上限:最大100万円程度(実施内容により異なる)
使える場面:
テレワークやリモートワーク体制の整備
勤怠管理システムの導入
就業規則の改定や労使協定の締結
💡ポイントIT補助金と重複するケースもあるため、併用可否を事前に確認することが大切です。
トライアル雇用助成金概要:未経験者や就職困難者を一定期間試験的に雇用し、その後本採用する企業に対して支給される助成金です。新規事業の立ち上げ時に即戦力人材を見極める手段として有効です。
対象事業者:トライアル雇用制度を導入し、所定の要件を満たす就職希望者を雇用した企業
主な支給額:1人あたり月額4万円 × 最大3ヶ月(最大12万円)
使える場面:
ハローワーク紹介の人材をトライアル雇用として採用
新規事業立ち上げ時の短期試用雇用を活用
💡ポイントトライアル雇用開始前に計画書提出が必要です。「雇用前の相談」が必須条件のため、事前準備が肝心です。
地方自治体の創業支援助成金概要:東京都や大阪府、横浜市などの地方自治体では、地域ごとに独自の「創業支援助成金・補助金」が用意されています。
対象事業者:各自治体の支援要件を満たした創業者(法人・個人問わず)
主な支給内容の例(東京都・創業助成事業):最大300万円まで(対象経費の2/3以内)
使える場面:
開業に必要な設備購入や広告宣伝費
市区町村の指定地域内での創業
💡ポイント自治体によって条件やスケジュールが大きく異なるため、地域の商工会議所や自治体HPをこまめに確認しましょう。
✅助成金は“実績ベース”で活用できる安定した支援制度
助成金は、事業計画の採択を待たずに、条件をクリアすれば支給される制度が多く、新規事業の立ち上げ直後から使いやすいのが特徴です。特に、「人を雇う予定がある」「研修をしたい」「働きやすい職場を作りたい」という場合は、補助金よりも助成金のほうが現実的でスピーディに活用できます。

助成金・補助金を使うメリット・デメリット(初心者向け解説)
助成金や補助金は、新規事業をスタートするうえで非常に心強い資金支援制度ですが、活用にはメリットだけでなく、注意すべきデメリットも存在します。ここでは、初心者の方にもわかりやすく、それぞれの特徴を整理して解説します。
助成金・補助金を使う5つのメリット① 返済不要の資金が受け取れる
最も大きなメリットは「返済の必要がない」という点です。融資とは異なり、資金を受け取っても返す義務がありません。これはキャッシュフローが厳しい新規事業にとって大きな利点です。
💡【補足】原則として不正やルール違反がなければ返済義務はありません。ただし、要件を満たさなかったり、虚偽の申請があると返還を求められることがあります。
② 自己資金だけではできない事業に挑戦できる
補助金や助成金を活用することで、広告費・設備投資・IT導入など、自己資金では難しかった取り組みも実現可能になります。中には数百万円〜数千万円単位で支給される補助金もあり、事業のスケールアップを図る大きなチャンスとなります。
③ 社会的信用の向上につながる
補助金や助成金の受給は、国や自治体からの「公的な評価」を得たことと同じです。そのため、金融機関や取引先からの信頼を得やすくなり、融資の審査でもプラスに働くケースがあります。
④ 成功事例・先進事例としてPRに使える
補助金・助成金を活用した取り組みは、プレスリリースやWebサイトなどで公表しやすく、会社の成長性や意欲をアピールする材料になります。とくに、採択された補助金の名称を明記することで「信頼感」の演出が可能です。
⑤ 自社の課題を明確にするきっかけになる
申請には事業計画書や人材育成計画などの提出が求められるため、自然と「自社の強み・弱み」や「将来の方向性」を見直す機会になります。これは、経営のブラッシュアップにもつながります。
助成金・補助金を使う4つのデメリットと注意点① 補助金は“後払い”なので立て替えが必要
補助金の多くは「後払い(精算払い)」の形式です。つまり、いったんは自社で全額を支払ったあとに、その一部が返ってくる仕組みです。
【例】補助率2/3で300万円の設備を導入する場合、いったん300万円を支払い、後日200万円が返金される流れ。
注意点: 資金繰りに余裕がない場合は、受給までの期間に資金ショートするリスクがあります。
② 採択されない可能性がある(補助金)
補助金は審査制であり、すべての申請者が採択されるわけではありません。制度によっては30〜50%程度の採択率となっており、事業計画の質や競争率によって結果が左右されます。
💡【補足】審査では、「新規性」「収益性」「地域貢献」「持続可能性」などが総合的に評価されます。専門家のサポートを受けると採択率アップが期待できます。
③ 手続きが複雑で書類作成が大変
申請書、事業計画書、見積書、報告書、支出証明書など、多くの書類を準備する必要があります。とくに補助金は採択後も「事業実績報告」や「経費明細」などの提出が求められ、手間がかかります。
🔰【初心者アドバイス】書類の不備や期日超過は「支給されない」原因になります。不安がある場合は、行政書士・社労士・中小企業診断士など専門家の力を借りるのがおすすめです。
④ 制度ごとにルールや対象経費が異なる
制度によって、補助対象となる経費や活動内容、対象者の条件が大きく異なります。「この費用も出ると思っていたのに、対象外だった」ということもよくあります。
✅【チェックポイント】 自社が対象業種かどうか 経費の支払いタイミング(事業期間外はNGの場合あり) 消費税や人件費が含まれるかどうか
✅メリットとデメリットを理解して「賢く使う」ことが成功のカギ
助成金や補助金は、新規事業の支援にとって非常に有用な制度ですが、「申請すればもらえるもの」ではありません。きちんとルールを理解し、申請前の準備・資金計画・書類対応を整えておくことが、賢く活用するための第一歩です。
助成金・補助金の申請から受給までの流れ
助成金や補助金は、単に「申し込めばすぐもらえる」というものではなく、申請から受給までにさまざまな手続きやルールが存在します。特に補助金は、事前準備・事業実施・報告・精算という一連の流れが必要です。
ここでは、初心者の方でも迷わないよう、申請から受給までの一般的なステップをわかりやすく解説します。
STEP1. 情報収集と制度の選定まずは、自社に合った制度を見つけることから始めます。制度ごとに目的や対象が異なるため、以下のポイントをチェックしましょう。
自社の事業内容や規模に合っているか?
申請期間はいつからいつまでか?
補助対象経費は何が含まれているか?
申請書類や実績報告の手間は許容範囲か?
✅【情報収集の方法】 経済産業省や厚生労働省、地方自治体の公式サイト jGrants(補助金申請ポータルサイト) 商工会議所、中小企業診断士、社労士などへの相談
STEP2. 事業計画書などの申請準備補助金・助成金の申請では、計画書の提出が必須です。この段階で、以下の資料を用意しましょう。
事業計画書(目的・内容・予算・スケジュールを記載)
見積書(外注費・設備費など)
自社の決算書類や登記簿謄本(法人の場合)
労働保険の加入証明(助成金の場合)
💡【ポイント】事業の「新規性」や「持続可能性」「地域への貢献性」などを明確に書くことが、採択率アップにつながります。
STEP3. 申請書類の提出と審査(補助金の場合)補助金は基本的に「公募期間内の申請」が必要です。期限を過ぎると受け付けてもらえませんので、余裕を持って準備しましょう。
提出後は、以下のような審査が行われます。
書類審査
外部有識者による評価
一部の制度では、プレゼンテーションやヒアリング
審査期間: 数週間〜2ヶ月程度(制度による)
💡助成金の場合は、「要件を満たしていれば原則支給される」ため、補助金のような採択審査は原則不要です。
STEP4. 採択結果の通知・交付決定(補助金)審査を通過すると「交付決定通知」が届き、正式に補助対象事業として認められます。ここからようやく、補助対象となる事業をスタートできます。
❗交付決定前に経費を使ってしまうと「対象外」になるため注意!申請前や交付決定前に支払った経費は、原則補助対象になりません。
STEP5. 事業の実施と経費支出交付決定後、計画通りに事業を実施し、対象経費を支払っていきます。この段階では、次の点に注意してください。
支出した費用の領収書や請求書は必ず保管
銀行振込明細などの「支払証拠」も必要
実績が計画通りかどうかを記録しておく(変更がある場合は事前相談)
【補足】補助金・助成金ともに「現金支払」は原則NG。振込記録などが必要です。
STEP6. 実績報告書の提出と確認事業完了後には、実績報告書を提出します。内容には以下が含まれます。
実際に行った事業内容の報告
支出内容・証拠書類の添付
成果物の写真や資料(Webサイト、パンフレットなど)
報告内容に不備があると、補助金の減額・不支給となる場合があります。報告内容は慎重にチェックしましょう。
STEP7. 精算・受給(補助金・助成金)実績報告が受理・承認されると、ようやく補助金または助成金が支給されます。精算には1ヶ月〜数ヶ月かかることもあり、資金繰りを見越した計画が重要です。
💡【補助金の支給タイミング】・事業完了から支給まで「約3〜6ヶ月」かかるケースも珍しくありません。
✅スムーズな受給のための3つのポイント
「交付決定前の支出は対象外」というルールを忘れない
経費の証拠(請求書・振込明細)を必ず保管
事前準備・事後報告に時間をかける覚悟を持つ
初めての方が助成金・補助金を選ぶときのステップ
助成金や補助金は制度の数も種類も非常に多く、「どれを選べばよいかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。ここでは、初心者が失敗しないために押さえておきたい、助成金・補助金の選び方と判断ポイントを5つのステップで解説します。
STEP1. 自社の目的を明確にするまずは、「何のために補助金・助成金を活用したいのか?」をはっきりさせましょう。目的が曖昧だと、制度の選定も申請書の説得力も弱くなります。
✅【目的例】
新製品を開発したい(→補助金)
ホームページを作成して販路を広げたい(→補助金)
非正規社員を正社員にしたい(→助成金)
社員に研修を受けさせたい(→助成金)
目的によって選ぶ制度はまったく異なるため、最初に“何に使いたいか”を整理することが最重要です。
STEP2. 「補助金」と「助成金」の特徴を理解する制度を選ぶ前に、基本的な違いを押さえましょう。
比較項目 | 補助金 | 助成金 |
支給形式 | 審査・採択制 | 要件クリア型 |
支給タイミング | 事後精算(後払い) | 事後支給(比較的早い) |
難易度 | 高め(競争あり) | 低め(条件次第で確実性あり) |
代表例 | IT導入補助金・事業再構築補助金 | キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金 |
💡【補足】「事業への投資」なら補助金、「雇用や人材関連」なら助成金が基本です。
STEP3. 自社の状況と条件をチェックする制度ごとに、業種・規模・地域・雇用人数・設立年数など細かい条件があります。次のポイントを確認して、自社が対象に該当しているかをチェックしましょう。
業種:製造業、小売業、サービス業など
企業規模:従業員数、資本金、売上高
創業年数:創業から○年以内が条件の制度も多い
雇用状況:労働保険に加入しているか
地域:地方自治体の支援制度は地域限定
【例】「東京都の創業助成事業」は、東京都内で創業し、要件を満たす事業者のみが対象です。
STEP4. 専門家・支援機関に相談してみるはじめての申請では、制度の選び方や書類の書き方に不安を感じる方も多いと思います。そんなときは、以下の専門家や支援機関に相談するのがおすすめです。
支援機関・専門家 | サポート内容 |
商工会・商工会議所 | 補助金の選び方・申請サポート・計画書の確認 |
中小企業診断士 | 事業計画書のブラッシュアップ・アドバイス |
社会保険労務士(社労士) | 助成金の申請書類作成・条件確認 |
行政書士 | 各種書類の作成・代行申請 |
💬【アドバイス】申請前に「自社でできる部分」と「専門家に任せる部分」を分けると効率的です。
STEP5. 採択実績や公募時期を確認する特に補助金は、制度によって“採択率”や“公募時期”が大きく異なります。制度を選んだら、次の情報を必ずチェックしておきましょう。
採択率: 前年度の実績で採択率が30%未満なら難易度高め
募集時期: 年に1〜4回程度、数週間〜1ヶ月しか受付期間がないことも
対象経費: 支払い前の申請が必要か、事後精算でも対象になるか
📌【おすすめサイト】 「ミラサポplus(中小企業庁)」 「jGrants(電子申請ポータル)」 自治体の公式ホームページ

よくある質問
Q1. 助成金と補助金は同時に申請できますか?A. はい、条件が合えば同時に申請・受給することも可能です。
ただし、同じ経費を「二重に申請」することはできません(例:同じ研修費を両制度に請求するなど)。また、制度ごとに申請時期や報告書類が異なるため、スケジュール管理と書類準備に注意が必要です。
Q2. 開業したばかりでも申請できますか?A. 可能です。ただし、制度によっては「創業○ヶ月以内」や「創業予定者向け」のものもあります。
とくに自治体の創業支援補助金は、新規開業を応援する制度が多く、創業1年未満の事業者が対象となるケースもあります。一方で、過去の決算書などが必要な補助金もあるため、制度ごとに確認が必要です。
Q3. 補助金が採択されなかったら、また申請できますか?A. はい、次回の公募で再チャレンジ可能です。
補助金は年に数回公募されることが多いため、不採択だった場合は事業計画書を見直して、次の公募で再申請することができます。採択されなかった理由を確認し、改善点を明確にすることが重要です。
💡ポイント採択率が高くなる傾向があるのは、「創業間もない企業」よりも「成長性・地域貢献性が明確な企業」です。
Q4. 補助金や助成金を受けると、税金が増えたりしませんか?A. 補助金・助成金は「雑収入」として課税対象になります。
受給した金額は、法人税や所得税の計算対象となる利益に加算されるため、受給によって「納税額が増える」可能性はあります。ただし、それでも「返済不要」であるメリットが大きいため、しっかり利益管理をすれば問題はありません。
Q5. 事前に経費を使ってしまったら申請できませんか?A. 原則、補助金・助成金ともに「事前着手」はNGです。
補助金は特に厳格で、「交付決定通知」より前に支払った経費は対象外になります。助成金の場合も「事前計画の提出」が必要な制度が多いため、申請前に経費を使うのは避けましょう。
⚠️注意「もう買ってしまった」「すでに研修を開始している」という状態では、支給されない可能性が高くなります。
Q6. 自社に合う制度が見つかりません。どうすればいいですか?A. 商工会議所や行政の支援窓口、中小企業診断士などの専門家に相談しましょう。
とくに初心者の場合、制度の種類や違いが複雑で判断が難しいこともあります。無料で相談できる公的機関も多く、プロのアドバイスを受けながら制度を選ぶことで、失敗を防ぎやすくなります。
まとめ|助成金・補助金を正しく活用して新規事業を成功させよう
助成金や補助金は、新規事業の立ち上げを支援してくれる心強い制度です。うまく活用すれば、自己資金の負担を大幅に軽減し、事業の可能性を広げることができます。
しかし、制度の違いやルールを理解せずに申請してしまうと、「思ったよりも難しかった…」「支給されなかった…」といったトラブルにつながりかねません。
✅この記事で解説した重要ポイントをおさらい
助成金と補助金の違いを理解しよう →「審査制」か「条件クリア型」かが大きな分かれ道です。
目的と用途に応じた制度選びをしよう →「雇用」「販路開拓」「設備投資」など、自社の課題に合った制度を選ぶのが成功のカギ。
申請前の準備とスケジュール管理が重要 → 補助金は特に「交付決定前の支出NG」など、厳しいルールがあります。
メリット・デメリットを正しく把握しよう → 返済不要の資金である一方、後払い・複雑な手続き・課税対象である点も忘れずに。
専門家や支援機関を活用しよう → 商工会・社労士・行政書士・中小企業診断士などの力を借りることで、成功率がぐっと高まります。
最後に:助成金・補助金は“攻めの経営”の第一歩
新規事業は、挑戦の連続です。そんなとき、国や自治体の支援制度を「知っているかどうか」「正しく使えるかどうか」が、将来の成否を左右します。
もし今、少しでも「資金面が不安だ」「何から始めたらいいかわからない」という気持ちがあるなら、まずは1つ、制度を調べるところから始めてみてください。
小さな一歩が、大きな未来につながります。





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