法人税とは?法人税率の種類と法人税の計算方法をわかりやすく解説【2025年最新版】
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- 7月7日
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目次
法人税とは?法人税率の種類と法人税の計算方法をわかりやすく解説【2025年最新版】

法人税とは?個人所得税との違いと仕組みを解説
法人税の定義と目的
法人税とは、株式会社や合同会社など法人格を持つ組織が、事業で得た利益に対して納める国税です。会社が1年間に得た所得(=利益)に対して課税され、所得税と同様に累進的に税率が設定されています。
法人税の目的は、企業活動から得られる利益に公平に課税し、国の財政を支えることにあります。
個人の所得税との違い
個人が納める「所得税」は個人の収入に対して課されますが、「法人税」は法人が得た利益に課税されます。また、個人は累進課税(収入が増えるほど税率も上がる)なのに対し、法人税は一律の税率(基本は23.2%)で課されます。
誰が対象になるのか?(課税対象となる法人)
法人税の課税対象となるのは、以下のような法人です:
株式会社・合同会社・合資会社・合名会社などの営利法人
協同組合、医療法人、NPO法人など一部の非営利法人(収益事業に対して)
公益法人や財団法人も、収益事業を行っていれば課税対象になります
法人税率の種類と中小企業の税率【2025年版】
法人税の基本税率
現在、日本の法人税の基本税率は以下の通りです:
課税所得 | 法人税率(国税分) |
800万円以下 | 15%(中小企業特例) |
800万円超 | 23.2% |
これはあくまで「法人税」の税率であり、地方税を含めた実効税率は約30%前後になります。
中小企業特例の軽減税率
資本金1億円以下の中小法人は、年800万円以下の所得に対して15%の軽減税率が適用されます。中小企業にとっては大きな節税効果があるため、適用条件を確認しておくことが重要です。
法人住民税・事業税・地方法人税の概要と税率
法人の納める税金は法人税だけではありません。実際には以下のような税もあわせて発生します:
法人住民税:都道府県・市町村に納める税(法人税額×〇%+均等割)
法人事業税:所得に応じた地方税。一定額を超えると外形標準課税の対象
地方法人税:国に納めるが地方に配分される税金
これらを含めると、実効税率は約30%〜34%程度になります。

法人税の計算方法を具体例で解説
法人税の計算は複雑な印象がありますが、流れをつかめば理解しやすくなります。ここでは法人税の基本的な計算ステップと、実際の金額例を用いてわかりやすく解説します。
法人税の計算ステップ
法人税の計算は、以下のステップで行われます:
税引前当期純利益を確定する(会計ベース)
会計上の利益から「加算・減算調整」を行い、課税所得を算出する
損金不算入(交際費の一部など)→ 加算
損金算入(減価償却費、役員報酬など)→ 減算
課税所得に法人税率を掛けて法人税額を算出する
地方税(法人住民税・事業税・地方法人税)を加えて、納税総額を確定する
計算例(年間利益1,000万円のケース)
例として、年間の税引前利益が1,000万円の中小企業(資本金1,000万円以下)で、特別な調整がない場合の税額を見てみましょう。
項目 | 金額(概算) |
税引前利益 | 1,000万円 |
課税所得(調整なしと仮定) | 1,000万円 |
法人税(800万円までは15%、残りは23.2%) | 800万円×15%+200万円×23.2% = 約184万円 |
法人住民税(法人税×約14%、均等割7万円と仮定) | 約32万円+7万円 = 約39万円 |
法人事業税・地方法人税 | 約50万円(課税所得に応じて変動) |
合計納税額(実効税率:約27〜30%) | 約270万円前後 |
※あくまでシンプルな例です。実際は交際費、減価償却、繰越欠損金、特別控除など多くの要素が関わります。
税引前利益と法人税等の関係性(損益計算書とのつながり)
法人税は損益計算書(PL)の「税引前当期純利益」からスタートします。この利益に対して税額が決まり、支払う税金が差し引かれた後、「当期純利益」が確定します。
企業の利益は“見かけの利益”であり、法人税を含む税金を差し引いた後の**実質的な利益(可処分利益)**が手元に残る金額です。正しい利益管理と法人税の理解は、資金繰りや経営判断に直結します。

法人税の納付スケジュールと申告の流れ
法人税は、一定のスケジュールに従って「申告」と「納付」を行う義務があります。期限を過ぎると延滞税や加算税が発生するため、しっかりと把握しておくことが大切です。
確定申告と中間申告の時期
法人の納税には「確定申告」と「中間申告」の2種類があります。
区分 | 内容 | 期限 |
確定申告 | 決算期の終了後に、1年間の利益に基づいて税額を確定・申告・納付する手続き | 決算日から2カ月以内(原則) |
中間申告 | 事業年度の中間で予定納税を行う制度(前年度の法人税額が10万円超の場合) | 事業年度開始から6カ月を経過した日から2カ月以内 |
※申告期限が休日と重なる場合は、翌営業日が期限となります。
納付方法と納税先(電子申告の対応も)
法人税の納付は以下の方法で行えます。
電子納税(e-Tax):インターネットバンキングやクレジットカード決済も可能
金融機関の窓口:指定の納付書を使用して支払う方法
税務署への持参:原始的だが対応可能(非推奨)
現在は**電子申告(e-Tax)**の利用が一般的で、税理士に依頼する場合も電子での申告・納付が主流となっています。

節税対策としての法人化メリットとは?
法人化には法人税が発生する一方で、節税の選択肢が広がるというメリットもあります。個人事業主から法人成りを検討している方にとって、節税は重要な判断材料です。
法人税の節税ポイント
以下のような支出が損金として計上できるため、節税効果が期待できます。
役員報酬(個人の所得税と分散できる)
社会保険料
福利厚生費(社員旅行、健康診断など)
経費(家賃、車両費、通信費など)
特に、所得が高い場合は法人税の方が税負担が軽くなるケースも多く見られます。
役員報酬や経費計上による節税
法人化の節税テクニックとして代表的なのが、「役員報酬の活用」と「経費の適切な計上」です。
役員報酬を支払うことで、会社の利益を減らし法人税を抑える
家事関連費を経費とする場合は明確な区分が必要(私的流用はNG)
税務調査でもチェックされやすいポイントなので、税理士など専門家の指導を受けながら計上することが重要です。
税理士に相談するメリット
法人税は制度が複雑で、適用ミスによる過大納税や税務リスクも生じやすいため、税理士に相談することで以下のようなメリットが得られます。
正確な税額計算と適切な節税提案
税務署対応(申告・調査など)の代行
最新の税制改正に対応したアドバイス
顧問税理士がいない場合は、無料相談サービスなどを活用して比較検討するのもおすすめです。
まとめ|法人税は「仕組み」と「計算手順」を理解すれば怖くない
法人税は一見すると難解に思えるかもしれませんが、基本的な構造や計算ステップを理解すれば、適切な対策や準備ができるようになります。
特に中小企業や個人事業主が法人化を検討する際には、「どのくらいの税金がかかるのか」「節税できる余地はあるか」を事前に把握しておくことが重要です。
以下のようなポイントを押さえておきましょう:
法人税は利益に対して課税される国税(住民税や事業税も合わせて納税が必要)
中小企業には軽減税率の特例がある(15%)
法人税の計算は「損益計算書の利益」から税務調整を行って算出する
節税対策や申告の正確性を高めるためにも、専門家(税理士)との連携が有効
経営者として最低限の知識を身につけつつ、不明点は税理士に相談することで、より賢く法人経営が行えるようになります。
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