経理システム・会計システムを導入するメリット・デメリット、注意点を解説
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- 8月5日
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目次
経理システム・会計システムを導入するメリット・デメリット、注意点を解説

経理システム・会計システムとは?
経理システムとは?わかりやすく解説
経理システムとは、請求書の作成・入出金管理・経費処理・仕訳作業などの経理業務を効率的に行うためのITツールです。パソコンやクラウド上で動作し、これまで手作業で行っていた業務を自動化・一元管理できるのが大きな特徴です。
例えば、以下のような業務が経理システムで管理できます。
請求書・領収書の発行と管理
売上や経費の記録と仕訳の自動化
支払予定・入金予定の管理
給与計算や年末調整などの処理
銀行口座やクレジット明細との自動連携
経理担当者の負担を軽減し、スピーディーかつ正確な経理処理が可能になります。
会計ソフトとの違いは?
「経理システム」と「会計ソフト」は混同されやすいですが、カバーしている範囲に違いがあります。
項目 | 経理システム | 会計ソフト |
対象業務 | 経理業務全般(請求・仕訳・支払い・給与など) | 主に会計処理(仕訳・決算書作成など) |
主な目的 | 経理全体の効率化・自動化 | 会計帳簿の作成・税務処理 |
ユーザー層 | 経理担当者、総務、人事など | 税理士、会計担当者 |
会計ソフトは仕訳や決算書作成に特化している一方で、経理システムはそれを含む業務全体を管理できるのがポイントです。
たとえば、マネーフォワードやfreeeなどのクラウド型サービスは、経理システムと会計ソフト両方の機能を兼ね備えているものもあり、導入時には自社の業務範囲や目的に応じて選ぶことが大切です。

経理・会計システムを導入するメリット
経理や会計業務をデジタル化することで、企業はさまざまな恩恵を受けられます。ここでは、主なメリットをわかりやすく紹介します。
業務効率の大幅アップ
経理システムを導入する最大のメリットは、経理業務の自動化による効率化です。
たとえば、手書きやExcelで管理していた請求書の作成や、仕訳作業がシステム上でワンクリックで完了できるようになります。銀行口座やクレジットカード明細との自動連携も可能なため、入出金の管理や帳簿づけにかかる時間が大幅に削減されます。
実例:毎月100件の請求書を発行していた企業が、システム導入後はテンプレート化・自動送信により、作業時間を約3分の1に短縮。
ミスの削減と内部統制の強化
人の手で行う作業は、どうしてもミスが発生しがちです。経理システムでは、入力ミスや転記ミスを自動チェックしたり、重複処理を防ぐ仕組みが整っているため、人為的ミスを大幅に減らせます。
また、アクセス権限の設定や操作ログの記録ができるため、社内での不正防止や内部統制の強化にもつながります。
テレワークやクラウド活用に対応しやすい
クラウド型の経理システムであれば、インターネット環境さえあればどこからでも操作可能です。出社せずに請求書を発行したり、在宅で仕訳入力を行ったりと、テレワーク体制にもスムーズに対応できます。
また、税理士とのデータ共有もオンラインで完結できるため、紙の資料をやり取りする手間も不要です。
経営データの可視化で意思決定がスムーズに
経理システムには、売上・支出・利益・キャッシュフローなどの経営数値をリアルタイムでグラフ化・レポート出力できる機能が備わっていることも多く、社長や経営層の意思決定にも役立ちます。
「どの事業が利益を生んでいるか?」「今月の資金繰りは大丈夫か?」など、数字に基づいた判断がしやすくなるのです。
まとめ:メリット一覧
メリット | 内容 |
作業効率アップ | 自動化・テンプレート化により時短 |
ミス防止 | 転記ミスや二重処理の防止機能あり |
在宅対応可 | クラウド利用でテレワークに強い |
経営判断に役立つ | 見える化された数値で迅速な意思決定 |
経理・会計システムのデメリットと注意点
経理システムや会計システムは非常に便利なツールですが、導入にはいくつかの注意点もあります。メリットだけでなく、デメリットや導入時のリスクを理解しておくことも大切です。
初期コスト・運用コストがかかる
経理システムの導入には、初期費用や月額利用料などのコストが発生します。特にオンプレミス型(自社サーバーに設置するタイプ)の場合は、システム構築費・保守費用・人件費も加わるため、中小企業にはやや負担が大きいケースも。
クラウド型でも、機能に応じて月額数千円~数万円の料金が発生します。長期的に見れば効率化でコスト削減になりますが、導入前に費用対効果をしっかり見積もることが重要です。
社内のITリテラシーが必要
いくら優れたシステムでも、使いこなせなければ意味がありません。導入時には従業員が基本的な操作方法を理解している必要があり、教育や研修も不可欠です。
特に年齢層の高い職場や、ITに慣れていないスタッフが多い企業では、操作に慣れるまでの時間やサポート体制の整備が課題となることもあります。
運用ルールの見直しが必要な場合も
経理システムに合わせて、業務フローや社内ルールの変更が必要になることがあります。たとえば、紙の伝票で処理していた業務をすべてデジタル化する場合、これまでの承認フローやファイル管理方法も見直さなければなりません。
補足:システムに業務を合わせる必要があるため、**「現場の混乱」や「一時的な生産性の低下」**が起こる可能性もあります。
導入時のシステム選定やデータ移行が難しい
自社に合ったシステムを選ぶには、業種や業務内容に応じた機能の比較や選定が必要です。導入後に「思っていたより使いにくい」「必要な機能がなかった」となると、コストも時間も無駄になってしまいます。
また、既存の経理データ(Excelや手書き帳簿など)を新システムに移行する作業も必要で、この移行作業に手間取るケースも多く見られます。
まとめ:デメリットと注意点一覧
デメリット・注意点 | 内容 |
初期・運用コスト | 導入費用・月額費が必要になる |
ITリテラシーの壁 | スタッフの教育や研修が必要 |
業務フロー変更 | 既存の業務との整合性を確認する必要あり |
データ移行の手間 | 旧システムからのデータ移行が大変な場合も |
経理・会計システムの主な種類と特徴
経理・会計システムには、いくつかの種類があり、企業の規模や目的によって選ぶべきシステムは異なります。ここでは、主に利用されている2つのタイプ「オンプレミス型」と「クラウド型」の違いや、それぞれの特徴を解説します。
オンプレミス型とクラウド型の違い
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
オンプレミス型 | 自社内のサーバーにシステムを構築 | セキュリティ管理がしやすい/カスタマイズ自由度が高い | 導入・維持費が高い/社内IT人材が必要 |
クラウド型 | インターネット経由で利用(サブスク形式) | 初期費用が安い/どこからでも使える/アップデート自動 | カスタマイズに制限あり/ネット接続が前提 |
初心者や中小企業には「クラウド型」の経理システムがおすすめです。月額制で気軽に始められ、専門知識がなくても導入・運用しやすいのが大きな利点です。
中小企業におすすめの経理・会計システム
中小企業や個人事業主にも使いやすい、代表的なクラウド型会計システムを3つご紹介します。
■ freee(フリー)
スマホでも操作可能で、請求書発行から経費精算、決算書作成まで一元管理可能。
初心者でも操作しやすいUIが特徴。
会計知識がなくても導入できる点が好評。
■ マネーフォワード クラウド会計
銀行・クレカ・レジ・POSデータなどと自動連携が可能。
税理士との連携もしやすく、日々の入力が簡単。
他の業務ソフト(給与・請求書など)との連携性が高い。
■ 弥生会計 オンライン
長年の信頼と実績がある「弥生」ブランド。
税務申告や青色申告にも強く、サポートも充実。
仕訳や帳簿の自動作成機能が豊富。
💡選ぶ際のポイント
自社の業務フローとシステムの機能が合っているか
サポート体制(チャット・電話など)は整っているか
他の業務ソフト(給与・販売管理など)との連携性
スタッフのITスキルに応じた使いやすさ

導入時に失敗しないためのポイント
経理システムの導入は、業務の効率化や正確性向上に大きく貢献する一方で、準備不足や選定ミスによって「逆に手間が増えた」「使いこなせなかった」という失敗事例も少なくありません。ここでは、導入を成功させるために重要なポイントを紹介します。
現状の経理業務フローを洗い出す
まずは、自社の経理業務がどのように行われているかを整理しましょう。以下のような項目を可視化しておくと、システム選定時に役立ちます。
請求書や領収書はどのように管理しているか
仕訳は誰が、どのように行っているか
入出金のチェック体制はどうか
税理士とのやり取りの方法
💡POINT:現場を知らずにシステムを入れても、現場が混乱するだけです。まずは「どの業務に負担がかかっているか」を把握しましょう。
導入の目的・課題を明確にする
「何のために経理システムを導入するのか?」という目的や解決したい課題を明確にすることが重要です。
手作業によるミスを減らしたい
月末月初の残業をなくしたい
経理担当者の業務を標準化したい
経営数値をリアルタイムで見たい
目的が曖昧だと、機能過多な高額システムを選んでしまうなど、コストと効果が見合わない導入になりがちです。
操作性・サポート体制も重視する
システムの操作性や使いやすさは、現場の定着に直結します。初心者でも直感的に操作できるインターフェースか、スマホ対応か、マニュアルやチャットサポートが充実しているかも重要なチェックポイントです。
また、導入時の初期設定や、税理士・社労士との連携がスムーズにできるかも確認しておきましょう。
導入スケジュールと移行作業を明確にしておく
新しいシステムを使い始める際には、旧データの移行作業やスタッフの操作研修などの準備期間が必要です。特に期中導入(会計年度の途中)を行う場合は、前システムとの整合性やデータ変換の手間に注意が必要です。
🔄 導入スケジュールの例:
1ヶ月目:現状分析・要件定義
2ヶ月目:システム選定・契約
3ヶ月目:設定・テスト運用
4ヶ月目:本稼働・フォローアップ
まとめ:失敗しない導入のための4ステップ
現状の経理業務を整理する
導入目的を明確にする
操作性・サポート体制を重視する
導入スケジュールと移行計画を立てる

よくある質問
Q1. 経理システムと会計ソフトの違いは何ですか?
A.会計ソフトは主に「仕訳」「帳簿作成」「決算書作成」など、税務会計向けの機能に特化したツールです。一方で、経理システムは請求書の作成や入金管理、経費精算、給与計算など経理業務全体をカバーしているのが特徴です。
Q2. 小規模な会社や個人事業主でも導入する意味はありますか?
A.はい、十分に意味があります。クラウド型のシステムであれば、月額数千円程度から導入可能で、少人数の企業でも業務の効率化やミスの防止につながります。特に事業を拡大していく予定がある場合は、早めに導入しておくと管理体制を整えやすくなります。
Q3. 導入にはどれくらいの期間がかかりますか?
A.クラウド型の場合、最短で数日〜1週間ほどで導入が可能です。ただし、実際には「業務フローの見直し」や「従業員への説明・教育」なども必要になるため、1〜2ヶ月程度を目安にスケジュールを組むと安心です。
Q4. クラウド型のセキュリティは大丈夫ですか?
A.近年のクラウド会計システムは、銀行レベルの暗号化技術や多要素認証を導入しており、高いセキュリティ水準を保っています。ただし、利用する端末の管理(パスワード設定やウイルス対策)も重要です。
Q5. 補助金や助成金で導入費用をまかなえますか?
A.はい、経理システムの導入はIT導入補助金などの対象になることがあります。補助金の内容や要件は年度ごとに変わるため、導入前に経済産業省や商工会議所の情報をチェックするとよいでしょう。
Q6. 税理士との連携はどうなりますか?
A.多くの経理システムや会計ソフトは、税理士との共有機能が充実しています。クラウド上でリアルタイムにデータを確認できるため、書類のやりとりやメール送付の手間が省け、業務効率が大幅に向上します。
まとめ|経理システムを活用して経営力を高めよう
経理システム・会計システムの導入は、単なる業務の効率化にとどまらず、企業全体の「経営力」を底上げする重要なツールです。請求・支払・仕訳・帳簿作成などを自動化することで、人的ミスを防ぎ、時間とコストを大幅に削減できます。
さらに、リアルタイムで経営数値を見える化できるため、迅速で正確な意思決定につながる点も大きなメリットです。
一方で、初期コストや導入準備には一定の手間がかかるため、目的や現状の業務をしっかり整理した上で、システムを選定・導入することが大切です。
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