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資金繰り計画とは?資金繰り表と損益計算書のズレ・悪化の原因も徹底解説

  • 執筆者の写真: FA
    FA
  • 7月7日
  • 読了時間: 6分
資金繰り計画とは



目次



  • 売掛金の回収遅延

  • 在庫の抱えすぎ

  • 支払条件の不一致

  • 設備投資による資金圧迫

  • 金融機関との取引悪化


  • 入金・出金の項目を正確に分類

  • 予測と実績のギャップを定期的にチェック

  • 3ヶ月・6ヶ月・1年先を想定したシミュレーション


  • 黒字なのに資金ショートしたIT企業

  • 外注費のタイミングを見誤って赤字転落した製造業






資金繰り計画とは?資金繰り表と損益計算書のズレ・悪化の原因も徹底解説



資金繰り表



資金繰り計画とは何か?【目的と重要性】

資金繰りとは、会社における現金の流れを管理することを指します。売上や経費の発生だけではなく、「いつお金が入って、いつ出ていくのか」というタイミングを見える化するのが資金繰り計画です。


資金繰り計画を立てることで、


  • 支払いに必要な現金が足りるか

  • 資金ショートのリスクがないか

  • 外部資金が必要な時期はいつか


などを事前に把握できます。

また、経営判断を下す際にも役立ちます。例えば新規事業や設備投資を行う場合、その支出がどのタイミングで資金繰りに影響を与えるかを可視化することで、無理のない計画を立てることが可能になります。






資金繰り表とは?損益計算書との違いをわかりやすく解説

資金繰り表の基本構造

資金繰り表は、


  • 入金(売上入金、借入金、補助金など)

  • 出金(仕入れ、家賃、人件費、税金など)

  • 手元資金の増減


を月単位や週単位で記録する表です。これにより、現金の増減や不足が予測できます。

企業の財務健全性を評価するうえで、資金繰り表は損益計算書や貸借対照表と並んで非常に重要な資料です。特に中小企業では、日々の運転資金に直結するため、資金繰り表の作成と運用が経営の命綱となります。






損益計算書との違いとよくある勘違い

損益計算書は「発生主義」で作成されます。つまり、売上や費用が発生した時点で記録されるのに対し、資金繰り表は「現金主義」で入出金ベースで管理されます。


たとえば


  • 100万円の売上があっても、入金が2ヶ月後であれば当月の資金繰りには反映されません。

  • 減価償却費のような現金支出を伴わない費用は、資金繰りには影響しません。


この違いを理解せずに経営判断をすると、「利益が出ているのになぜ資金が足りないのか」と混乱し、対応が遅れる原因となります。





頭を抱える


なぜ「黒字倒産」が起きるのか?資金繰り悪化の5つの原因

1.売掛金の回収遅延

売上は計上しているのに、実際の入金が遅れることで資金ショートを引き起こします。BtoBビジネスでは、取引先との締め支払い条件(例:末締め翌々月末払い)によって入金が2〜3ヶ月先になることもあり、資金繰りに大きな影響を与えます。






2.在庫の抱えすぎ

売れ残り在庫が増えると、仕入れに使った現金が固定化され、他の支払いに回せる資金が不足します。特に季節商品やトレンドに左右される商品を扱う業種では、在庫管理の精度が資金繰りに直結します。






3.支払条件の不一致

売上の回収よりも支払いのタイミングが早い場合、資金繰りが圧迫されます。例として、仕入れは即金払い、売上は掛け売りという場合、キャッシュフローがマイナスに傾きやすくなります。






4.設備投資による資金圧迫

工場の拡張や機械の導入など、大型投資を自己資金や短期借入で賄うと、運転資金まで圧迫することがあります。投資判断の前に、資金繰り表を使って将来の資金流出と収益回収時期のバランスを検討することが重要です。






5.金融機関との取引悪化

金融機関は資金繰り表や実績を重視して融資判断を行います。曖昧な資金繰りや突発的な赤字があると、融資や借入条件の悪化を招く可能性があります。定期的な見直しと、必要に応じた外部専門家のサポートが重要です。





資金繰り表の作り方と見直しポイント

1.入金・出金の項目を正確に分類

まずは、自社の入金と出金項目を洗い出し、固定費(人件費・家賃など)と変動費(仕入・光熱費・外注費など)を分けて整理します。漏れがないよう、過去の帳簿や通帳の記録も確認しながら作成しましょう。






2.予測と実績のギャップを定期的にチェック

予測だけでなく、実際にどうだったかを比較し、ズレの原因を突き止めます。たとえば、売掛金の回収が1ヶ月遅れた、外注費が想定より高かった、など小さなズレの積み重ねが資金ショートの要因になります。






3.3ヶ月・6ヶ月・1年先を想定したシミュレーション

短期・中期・長期の3つの視点で資金繰りを可視化することで、融資のタイミングや余剰資金の有効活用が計画的に行えます。補助金の申請スケジュールや、納税スケジュールも織り込むことで、実務に即した管理が可能です。






トラブル



【事例】資金繰り表と損益計算書のズレでトラブルになったケース

事例:黒字なのに資金ショートしたIT企業

ソフトウェア開発を行うA社では、売上が月500万円程度あり黒字を維持していたものの、入金サイトが60日であり、さらに大型案件の検収が遅れたことで現金が不足。外注費の支払いができず、社員への給与遅延も発生した。資金繰り表を導入していなかったことが原因で、資金ショートの兆候を見逃していた。






事例:外注費のタイミングを見誤って赤字転落した製造業

B社では設備更新を行い、同時に新製品を市場投入したが、外注業者からの請求が前倒しで発生し、想定していた支払時期とズレが生じた。資金繰り表があれば、このズレを事前に認識できたはずだが、結果として月末に一時的な資金不足に陥り、借入金でしのぐ形となった。






資金繰り改善のために今できること

  • 売掛金の早期現金化(ファクタリングの活用)

  • コスト削減や支払条件の見直し

  • 融資枠の確保(銀行、信用保証協会)

  • 税理士・専門家による資金繰りサポートの活用

  • クラウド会計ソフトによる資金繰り表の自動作成・共有

  • 定期的な資金繰り会議の開催



まとめ|資金繰り表を武器に経営リスクを回避しよう

資金繰り計画は、黒字倒産を防ぐための“経営の地図”です。損益計算書に加えて資金繰り表を導入することで、リアルタイムでの経営判断が可能になります。

日々の資金の流れを可視化し、予測と実績の差を分析することで、企業の財務体力を高め、緊急時にも慌てず対応できます。未来の資金ショートを防ぐために、今すぐ資金繰り表の導入・見直しを始めましょう。


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